慢性化してしまった便秘を治療する際、私は必ず環椎(第一頸椎)から診察を始めることにしています。
環椎と頭蓋骨の関節にどのような位置の異常があるのかを知りたいのです。
そして、もしそのような異常が存在するならば、それを確実に見つけ出せるようになりたいと考えています。
この関節部のあらゆる異常を探し出し、正確に特定し、そしてそれらを矯正することを私の治療目標としています。実際の診察では、多くの場合、患者さんの首が本来の形ではなく、盛り上がっていたり、陥没していたり、あるいは左右どちらかに押し出されているような状態を発見するものです。
by A.T.Still博士
人体中では下部に当たる腸の便秘に対し、最上部である頭蓋と第一頚椎を検査治療する。
各部分が全身と関連している、全身は一つの統合体、というスティル博士の考えが見て取れます。
症状が出ているところだけにとらわれず、関連している部位を全身中から探し出す。
脊柱から出てくる脊髄神経や脳や骨盤部から出る神経が内臓の働きと関係があるということは、スティル博士の時代にはすでに知られていました。
そのため便秘に対して腰椎や骨盤、上部頸椎を検査および治療することは、スティル博士にとって自然なことだったでしょう。
それにしても上部頸椎の検査と治療を特記しているのは興味深いです。
見落とされやすいということもあったのかもしれませんが、”そこから検査を始める”というほど大事にしている。
こういった上部頸椎に向ける眼差しには、同時代のアメリカに誕生発展したカイロプラクティックと共通点がみられますね。
多分そこにはボーン・セッティング(骨接ぎ)治療などの民間療法で首の治療が臨床効果を出していたことに加え、頭を人間の最重要器官と見始めた時代背景が見られます。
・デカルトの松果体を魂の座と考える思想。
・磁気(生体エネルギー)治療で”生体磁気が頭部から流れ出る”という思想。
・当時のスピリチュアリズム(スウェーデンボルグなど)で頭を天界との接点と考え重視する思想。
こういった影響があったと思われます。
なお現代の私達にとって頭を人間の最重要器官と考えるのは当たり前のことのように思えますが、実は歴史的には比較的新しい考え方です。
心臓が最重要と考えたり、胴回り(腰・肚)が最重要と考えたりする方が歴史的に主流です。
こういったことも考え合わせるとオステオパシーや現代医学も、時代の思想潮流の中に位置づけられることが見られて面白いと思います。


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