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スティル博士の名言060

頭部疾患を治療するにあたり、以下の重要事の理解と遵守を諸君に強く促したい。

それは純粋清浄な動脈血を頭部へと通過供給させるため、心臓から脳へと至る道を常に開放し”一級の状態”に保つことだ。
静脈血が何ものにも遮られず自由に還流可能にすることもまた同等に重要である。

この法則は、精密かつ絶対的なものである。

もし読者が、完璧な聴覚、視覚、嗅覚、味覚、そして触覚を望むならば、そこには良好な滋養、すなわち純粋清浄で豊かな動脈血と神経液(Nerve fluid)が存在し、かつ、静脈が還るための道が開かれていなければならないのだ。

“I want to insist on bringing to your attention the importance in treating diseases of the head, of keeping the road from the heart to the brain open and in first-class condition for the passage and delivery of pure arterial blood to the head.
The free and unobstructed return of the venous blood is just as important.
This law is exact and absolute and if you want perfect hearing, vision, smell, taste, feeling, you must have good nourishment, pure abundant arterial blood, nerve fluid, and an open way for venous return.”
—Research and Practice

スティル博士が最晩年に書き記した著作Research and Practiceの中の一節です。
ここには、単なる治療テクニックを超えた「身体の設計図」に対する揺るぎない信頼が込められています。この文章から現代の私たちが立ち返るべき「オステパスの矜持」が見えてきます。

1.「エネルギー」という言葉に逃げない強さ

完全に分析し切ることが難しい治療の世界では、目に見えない「エネルギー」という言葉が便利に使われがちです。
しかし、博士はこの一節で「機械」「液体」「配管」といった、泥臭くて物理的で機械的な言葉を選んでいます。

博士はエンジニア(機械技師)としての教育も受けていました。
だからこそ、安易に神秘主義へ逃げるのではなく、「構造を正しさえすれば自然治癒力は最適な働きを自ずとなす」という「構造の物理法則」を徹底的に追求したのでしょう。

スティル博士が「神経液(Nerve Fluid)」と呼ぶものも一見エネルギーのようなものかと思ってしまいますが、それは違います。
もっと実体を持った、脳から全身へ「命令」を運ぶ液体をイメージしています。

この「実体を持つ機械としての身体」に徹底的にこだわり、そしてそれを信じ抜く姿勢。
これこそ、私たちが忘れてはならないプロフェッショナルとしての誇りではないでしょうか。

2.頭部を救う「供給」と「排出」のリアリティ

博士が言う「心臓から脳への道」とは、具体的には胸郭上口(第一肋骨や鎖骨)や上部頸椎といった物理的な関門を指しています。

動脈(供給): 脳というエンジンに新鮮な燃料を届ける。
静脈(排出): 燃えカスである老廃物を速やかに運び去る。

どんなに素晴らしい手技を用いても、この「配管」が骨格の歪みによって折れ曲がっていれば、治療は成立しません。

五感(視覚、聴覚、嗅覚など)の不調に対し、器官そのものをいじるのではなく、その「インフラ」を整える。
このシンプルで力強いアプローチこそが、オステオパシーの真髄です。

3.筋膜:病が芽吹き、治癒が起こる「大地」

博士は筋膜に関して別の著作で「病は筋膜に宿る」と述べています。
当時の博士が描いていた筋膜のイメージは、現代の「筋膜リリース」で語られるタイツのような膜よりも、はるかに壮大なものでした。
博士にとって筋膜とは、すべての血管、神経、リンパを包み込み、生命の雫を浸透させる全身的なネットワークそのもの、言ってみれば「生命のインフラ基盤」でした。

筋膜が硬化すれば、そこを流れるべき流体は滞り、身体は汚れた沼地のごとき状態と化します。

私たちが筋膜に触れるとき、それは単に筋肉を緩めているのではなく、その人の生命を支える「インフラ基盤再建」を目指しているといえるでしょう。

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